ユベヨハ(GX) | 方舟機関

方舟機関

仕様上、シェア用リンクが表示されておりますが、ご遠慮ください。
仕様上、シェア用リンクが表示されておりますが、ご遠慮ください。

ユベヨハ(GX)

自由気ままな旅の道中に、ヨハンを訪ねた。
ドイツの最北部、デンマークと国境を接する、入り江に築かれた港町で、彼は祖父とふたり暮らしている。

十代は人見知りをしない。
誰に対しても、気安く気軽く気まぐれだ。
友にも、敵にも、本当に分け隔てなく。
そんな人となりを、図々しいと思うか清々しいと思うかは、人によりけりだ。
この老人の場合は後者のようだ。
愛孫の友人、という贔屓目が大いに入ってのことだが。
久しい再会。対して、浅い付き合い。それにしては軽やかに跳ね返り続ける会話。
ユベルは見守るのみだ。
人間の認知の埒外にいるものだから、仕様がない。
とはいえ、こうも退屈では欠伸が出る。
信用ならない他人ならば、警戒だってするけれど。
この人間こそが、ヨハンの何よりも大切なものなのだと知っている。
それを任されるくらいには、十代は(ユベルも)信頼されているらしい。
裏切るつもりにはなれなかった。
旅の先々の話をありがたがられるのはよくあること。
暇に語られる老後の生活は、大してありがたくもない、寧ろありふれたものだったけれど。
ヨハンだってそうなのだ。
穏やかで細やかな日々を、徒に過ごしている。
かつて語ったという気宇壮大な夢を忘れてしまったかのように。

知りたくなければ、耳を塞いで、聞かなければ良い。
知りたければ、直接、聞けば良い。
ユベルにはできる。できない十代はお気の毒に。
ヨハンが夕食を作ると言って席を立ってから1時間と経っていない。
キッチンには良い匂いが溢れていた。
まだ料理中ではあるらしい。時折、鍋をかき混ぜる音が響く。
「どうした? もう我慢ができないって?」
ユベルがいると疑わず、振り向きざまに問いかけてくる声の、何ともまあ気の抜けていること。
応える代わり、顔を覗き込むように姿を見せてやったのに、目を見開くどころか細めて笑うのだから、毒気を抜かれてしまうのも仕方がなかろう。
ついでとばかりにスープにハーブを振る仕草に、上手に視線を外されただけだと気付いた。
「おしゃべりに夢中さ。おかげでボクはつまらない」
「よかった。ああ、よくはないか。悪いな。オレの孝行に十代を使っちまって」
「お前が相手をしてくれるなら、許してやってもいいけど。どう?」
「いいよ。焼き上がるまで、もう少し掛かるから」
コンロのスイッチを切り、オーブンを覗き込んでから、ヨハンはユベルを手招いた。



<!−−2020/12/27ジェネタイに間に合わなかったもの。いずれ完成させます−−>
NEW ENTRIES
マトミレ(03.07)
(untitled)(07.25)
ユベヨハ(GX)(10.23)
外伝12巻組(LC)(07.17)
オネ吹(GX)(02.11)
オネ吹(GX)(09.18)
刻弾(SC(S))(05.01)
ユベヨハ(GX)(12.25)
獏良(YGO)(08.14)
アークライト家(ZEXAL)(02.25)
TAGS
5D's GX LC OTHERS SC(S) SEIYA YGO ZEXAL krbs メモ 完成品 執筆中 打ち切り 没稿
ARCHIVES
RSS
RSS